医療経営管理士を創ろうとしている人のブログ

診療放射線技師みおきょうこのひとりごと

医療経営管理士のタネ

初回に、医療経営管理士は2022年初頭に考案したものであると述べた。 
今回は、その種が25年前に得たものであったことを述べる。 

 

私が診療放射線技師1年目に勤務した中規模病院には、金融機関出身の事務長がいた。 
彼はいつもふらりと現場に現れて、表情豊かに話しかけながら状況を把握する人だった。 
そして、運営にとって納得しがたい結論になったときほど熱意をもって向き合い、現場にとって受け入れられない状況になれば、経営側への問題提起も誠意をもって行う人であった。 
彼は誰よりも現場主義に見えたし、労務や財務だけでなく医療機関の管理や規制に精通し、どの部署からも信頼されていた。 
有り体に言えば、事務長がそう言うなら協力しようと、職員全員が言えていたのである。 

 

当時の私は白衣を着ていても、国家資格取得のための知識を有するのみだった。 
それでも、私のことを先生と呼ぶ患者がいたり看護師からやりやすさに配慮してもらったりと、私は多少の後ろめたさを感じる状態であったことを今でも覚えている。 
一方、事務長はワイシャツにスラックス、春秋にはニットのベストを着て、いつもご機嫌そうに歩いていたので、気軽に話かける人は多かったが、彼のことを先生と呼ぶ人はいなかった。 
しかし、事務方が医療専門職と対等に話をするためには、相応の知識を要し、問題へ介入して解決するためのスキルも要する。 
新卒の私は、事務長のほうこそ医療のプロだと感じたし、その立場が国家資格でないことを不思議に思った。 

 

その後、私は胃透視や超音波に興味を持ち、健診施設へと勤務先を移したが、この施設の事務長も金融機関出身で医療専門職からも信頼される人だった。

 

彼らの共通点は、経営と運営の双方から信頼され、管理や規制を熟知するストッパーでありつつ、必要に応じてバランサーとして機能できるところであった。 
今思えば、前職において十分な財務スキルと問題対応力を得ていたからこそ、広い視野も持てていたのだろうと考えられる。 

 

そして、この25年間は私にとって、彼らが医療機関にとっていかに重要であるかを認識するための経験でもあった。 
なぜなら、私はさらに職場を移っていく過程で、ストッパー&バランサーが不在の職場に度々出会い、様々な問題に巻き込まれ、人生のスーパー魔六殺を迎えることになるのである。 

 

医療経営管理士の種は、私が駆け出しの頃に出会った事務長たちである。 
このことは、医療のトップマネージメントに求められるスキルが、医学的知識や既存の国家資格の有する技術だけではないことを強く示唆している。 

 


みおきょうこ@診療放射線技師 @Instagram 

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